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Context -抽象言語の深層へ-

こんにちは。宇都宮大学のウサミキイチロウです。 前回のブログで、''グローバリゼーションとローカリゼーション’’と題して投稿しました。 そこでは、主として ’’グローバル=普遍的な型とローカリティー=地域固有の素材’’の統合として、VoTrongNgha Architects(以下VTN)のバンブードームとローマ パンテオンの対比を示しました。これらの統合により、現代建築として力強さを感じるのではないかと感じました。また、地域性を大切にしながらもインターナショナルに展開する彼らのPR戦略もこれらを助長する要因であると思いました。

第三回のテーマは、全体の「My Favorite Architect」として、地域に向き合って建築をつくっている「ご当地建築家」が掲示されました。 「ご当地建築家」の大きな共通として「地域との関係性」があると思いますが、私がインターンをしたVTNや、テーマ説明でも話題に挙がったRCR Arquitectsなど、世界各地でバックグラウンドやソリューションは異なるものの「ご当地建築家」は間違いなくグローバルなトピックであると実感しました。

また御存知のように昨年のヴェネチアビエンナーレは、アレハンドロアラヴェナが「REPORTING FROM THE FRONT」というテーマを掲示し世界各地における現在の建築が置かれている状況を共通的に示すものだと言えました。

この「Front」は「Frontier」としてのデザインというよりは、建築家が共有すべき「context」であると感じました。

Venice

インターンを終えた後、ヨーロッパの建築メディアオフィスを視察する旅の途中、ヴェネチアを訪れました。

ヴォチョンギアはバンブーとグリーンを統合したインスタレーションを展示していました。I love VTN!!!

!

スペイン館は工事中あるいは改修物件の既存建物の写真が最初に印象に残った。力強い物質主義。

既存部分に対して新設した要素が明確に表される。

各計画のアイソメと写真が一体的に展示されてました。

日本館。''人、モノ、まち''についてテーマごとに、建築を巡る様々な関係''en''が可視化できる。

日本人を改めて誇りに感じました。

常山さんのHouse For Seven People。いつか体験したい。ギャラ間でも巡回するみたいなのでぜひ足を運んで欲しいです。

デンマーク館は主にヤンゲール。市民と政治家とアーキテクトで共有するためのデザイン論が示されていました。

世界中の都市が描写され各々の都市的問題について様々な文脈から語られる。

''振る舞い''の問題、''都市の骨格''の問題。扱う文脈が幅広いがわかりやすかった。

韓国館。高密度な都市に対して如何に社交的なスペースを提案できるかを模索している。

日本の状況と似ていると感じました。

用途やボリュームごとに様々な解答が可視化できる。

イスラエル館。LIFE OBJECT=日常的に消費される自然素材を用いた鳥の巣のような構造。

鳥の巣の構造原理をを調査を基にプログラムされている。自然素材で都市の高密化へのソリューションを目指している。

人の体温や行動に反応し、構造体が動きます。Integrate Technology and Nature.

ほんの一部になりましたが、各国で地域の問題について様々な''context''からアプローチをしていることが感じれたのではないでしょうか。

今回は、それを踏まえた上で、現在修士研究で取り組んでいるベトナムの現代建築家について、おそらくVTN以外はあまり知られていないし、ちょうど最近ドイツ/ベルリンを拠点とする建築メディア''ARCH+''の最新号では連続して Vietnam –''Die Rückkehr des Klimas=環境への還元'' ''Die stille Avantgarde=静寂なアヴァンギャルド''と題して、現代建築家が特集されているので、そこで取り上げられている建築家を一部紹介します。様々な''ご当地建築家の「context」を感じることができると思います。

''現代''を定義付ける背景として、ベトナムが86年からドイモイ(刷新)と呼ばれる経済開放いわゆる資本主義時代に突入し外国企業が活動するようになり、96年にはベトナム初の建築雑誌''KienTruc''が刊行され、それ以降で建築家の情報発信方法が変わってきたことが想像できるし、それ以降の経済/技術の発展速度は異常なほどの加速度があることから前時代との差異を感じる。この状況を''現代''と位置付けます。

また日本のようなアトリエ=小規模プロジェクト/組織=大規模プロジェクトのように、ベトナムにも似たような状況を感じます。

'自然のプロセスとしての建築''概念の基 自然素材(石や木)を用いて建具や家具などをリサイクルして活用することや

サイゴンの路地を彷彿させる特徴的な内外連続の空間が随所に観られる。

ソーシャルアーキテクト''として Community House や教育環境等の社会的要求が 高い

プロジェクトを運営面も含めて展開している。伝統工法と現代技術が統合されたディテールが随所に観られる。

アフォーダブルハウスからキャリアをスタートしているが、一望するとクライアントの要求に対して特に高い品質と

経済効率性に対して一貫した提案を感じます。環境負荷に特化した外被デザインも非常に興味深いです。

拠点はホーチミンだが作品所在地はダナン(中部)に多くある。中部にはかつてのチャンパ王朝の焼成煉瓦を用いた遺跡や神殿があり彼らにもそれらの踏襲、さらにそれらを現代的手法で生み出しているように観えます。ぜひ訪問したい。

かけ足での紹介になりましたが、''ベトナム現代建築家''についても各々で展開の仕方や''context''の差異が感じられたのではないでしょうか。

まだ彼ら以外にも数多くの建築家の情報がWEBを通じて日々発信されています。

ベトナムの'最先端としての'Front''を議論することは、現代建築家のスタンスを総括することにもつながると思います。

近況にもなりますが修士研究のゼミが始まり、彼らを素材に研究を展開していきます。

多くの情報ではソーシャルとかサスティナブルとか、あるいはローカルとか非常に抽象的な言葉で発信される中、ここでの議論ではいかに抽象言語の深層に入り込めるか、本質を考えることが求められると思います。自分なりに分析を始めましたが、インスピレーションがありました。また夏にベトナムに数ヶ月行くので、今日紹介した作品のレポートもしたいと思います。

僕は修了後ベトナムで建築イントロデューサー(仮)として活動したいと考えています。

まず僕の研究によって、今後さらに増加するであろう日本人も含む外国人建築家の活動領域を拡張できるのではないだろうか。双方のかけ橋になりたいと思います。

外国人が他の畑で仕事をするのは大変だと思いますが、前提として歴史や文化はもちろん将来についても情熱を持って考えたい。

そのためにもこの一年は一生懸命研究に精進いたします。

参考文献 : ARCH+ No226 Vietnam - ''Die stille Avantgarde''

ARCH+ No227 Vietnam ''Die Rückkehr des Klimas''

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