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ベルリンにはないものがふたつある

こんにちは。ドイツの首都ベルリンに留学中の大内です。

もう5月後半になってしまいました。。ドイツの夏セメスター始まりはイースター後の4月中旬。他国と比べて圧倒的に遅くようやくひと月経過いたしました。他の国の友達は来月からもう夏休みだと言うから驚きです。

そんなこんなで今更の投稿です、本当にごめんなさい。。

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さて、第二回のテーマ 街並みをつくる文化、生活、人 について。

ベルリンの街と文化か、、なんだろうたくさんあってまとまらない。。そんな中で、何かこの街の特徴を端的に言い表せないかなと思って気付いたのは、ベルリンにはないものがふたつある、ということでした。

ブランデンブルグ門前のベルリンの壁、崩壊

ブランデンブルグ門前のベルリンの壁、崩壊(wikipedia)

これまでも何度か言ってきたように、この街の面白さというのはその歴史に深く起因していて。1989年11月9日、つい30年前まで街が壁で分断されていたから。写真のように、前回トップに使用したブランデンブルグ門の目の前にも壁が有ったんです。壁は門の西側。建設したのは東ドイツ。即ち門は自分側。今は立派な観光地です。こうしたヨーロッパの他の都市とは異なる固有の面白さが此処にはある。今回は、都市スケールでみた2つの切り口から、私を今取り囲んでいる文化にまで掘り下げてお話できればと思います。

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ベルリンにないもの

1.中心

2.古い街並み

あるものはたくさんあります。ないものもたくさんあるけれど、今回はこの2つの観点からベルリンを眺めてみます。

1. 中心がない!

友達が遊びに来て、よくこんな質問をされます。「ザ・ベルリンを感じられる場所に連れてって。中心てどこ?」中心、、ないです!!作らないように、分散させた都市計画に成っているんです。それはドイツ自体の構成も同じ。ベルリンは国会議事堂などがあって政治の中心、フランクフルトは経済の中心、カールスルーエは司法の中心、、などなど東京やパリのような一極集中体制を取っていないのです。

1881年のRingbahn ( https://kreuzberged.comこのサイトとても面白いです!)

ベルリンには、よく犬の横顔に形容されるRingbahnと呼ばれる山手線のような環状線が走っていて、この中が街のメイン。都市人口は350万人で欧州の中ではロンドンに続いて2番目に多いとか。そう聞くと大都会のように思えますが、実際は緑や湖がたくさんあってとても癒やされます。ちなみに東京は1300万人。あっぱれ。

私が住んでいるのは西です。大雑把に言えば、西は裕福整然、東は貧乏雑然。エルメスなんかの高級ブランドショップは西にしかありません。良く東京の駅に例えてみたりします。このクーダムと呼ばれるショッピングストリートは表参道。西の中心Zoo駅は上野。渋谷や新宿は東でしょう。カルチャーがディープで面白いのは圧倒的東。昔の倉庫や発電所がクラブやアーティストインレジデンスになっている。移民が多いのも東。トルコ人街、アラブストリート、などなど。ケバブが美味しい。アフリカンは余り見かけません、フランス語圏に行くからです。閉鎖されたテンペルホフ空港は今は難民キャンプになっていて、様々な人が出入りしています。

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Eric Fischer / Locals and Tourists

Eric Fischer has used Open Street Maps and the geotags added to photos on Flickr and Picasa to create a map showing the density of photographs taken in Berlin. On this map blue indicates photos taken by locals, red by tourists and yellow could be either.

There are lots more ‘Locals and Tourists’ maps from Eric Fischer on Flickr from cities across the world.

Eric Fischer / Locals and Tourists (andberlin.com)

余談ですが、エリックフィッシャーのジオタグマップが興味深いので載せておきます。青が地元民、赤が観光客が写真を撮った場所です。東の方は青が強く、観光客は余り行かないようすがわかります。

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さてベルリンの中心、強いていうなら中央駅、、?

東西統合後念願だった「中央駅」の建設。西の中央駅と東の中央駅に、「ベルリンの中央」駅が加わりました。皆それぞれが目的地に向かって旅立つ感じ、好きだしかっこいい駅舎です。でもこの今は立派な玄関口、一昔前までは緩衝地帯、空白だったわけです。行かれた方はわかると思いますが、普通だったらセントラルステーションに行けば何かあると思ってとりあえず行くと、あらびっくり周りに何もない。もちろん本当に何も無いのではなくて、メルケルさんの住む首相官邸やフォスターの国会議事堂などの政治関連の施設が集中していてベルリンの心臓部です。でも、人が集まる場所ではない。起点ではあるけれども。だから私たちの中心ではない。

そうしたら、それこそブランデンブルグ門?たしかに地理的にも歴史的にもイメージ的にも中心なのかもしれませんが、これまた人が「居る」場所ではないのです。

じゃあこの街の民はどこに集まるんだ!!

はっきりとした答えはわかりません。ただ少なくとも日曜午後の中心はマウアーパークで決まりでしょう。本当に毎週毎週人が集まります。夜賑わうのはオラニエンストリートやワルシャワストリート、などなど。名前が難しくて覚えられないのですが、なんとかストリートと言われることが多いです。

こうしてみると、人が集まる場所は鉄道網とは関係ないところにあることがわかります。

それを良く表しているなと思う友達との会話が、

「そのアイスどこで買ったの?」

「〇〇ストリートの△個目だよ」

みんな駅名ではなく通り名で場所を認識していること。ニューヨーク・マンハッタンもそうかもしれない。パリは違う気がする。兎も角、これはこの街が駅ではなくストリートを起点として線状に構成され認識されていることを表すいい例だなあと思って感動しています。碁盤の目の街ではないのに!

2.古い街並みがない

これは周知ですが、ベルリンにはイタリアやスペインやドイツの他の都市でみられるような古い街並みはありません。その殆どが第二次世界大戦時のベルリン大空襲やソ連軍の破壊によって失われてしまったからです。いろいろ東京と重なるところがあります。

ベルリン大空襲前の教会周辺の街並み

この写真はカイザーヴィルヘルム教会内で展示されていたもので、昔のベルリンの街並みだそう。道幅が広くゆったりとした街区構成は今と変わりませんが、他の街同様の石造りの古い街並みが確かにあったようです。

すっかり塗り替えられてしまった街並みですが、一度リセット・再スタートしただけで、ヨーロッパの改修文化はここでも変わらないようです。従って東京のようなスクラップアンドビルドではなく、古くなった現代建築も改修をして再生させます。

特に顕著なのは東ベルリンにある使われなくなった伽藍堂たち。倉庫、発電所、戦争時の基地、研究所などなど。東工大本館のようなマッシブで強固な発電所は、壊すお金もないし、防音がしっかりしているからクラブにもってこいといったように、機能と設備が上手くリンクして再生しているのが面白い。後は天高のある元教会や雰囲気のでる元防空壕や謎の地下施設がギャラリーに、といった転用例が多々見られます。

Sammlung Boros 元防空壕現ギャラリー要予約

もうひとつ、面白い文化が「スクワッティング」です。本来は廃屋を不法占拠して住まう行為の意。実は冬セメスターのセミナーでこのスクワッティングを題材として調査を行っていました。壁崩壊前後は政治的に不安定で緊張感のあるスクワッティングでしたが、現在はアーティスティックな使われ方をしていこうという流れになっているようです。有名なのはミッテ地区にある元デパート・タヘレス。今は悲しいことに閉鎖されてしまいましたがアーティストインレジデンスになっていました。

ベルリンは物価も安く、ワーホリビザが下りやすいため、駆け出しのアーティストが沢山集っています。そうした人たちが活動をシェアでき、かつ破格で暮らせる場所の在り方としてとても魅力的だなあと思います。

スクワッティング事例・タヘレスTacheles

最後にスクワッティングに関して面白かった小話をして終わりたいと思います。

セミナーの先生のお母さんのおはなし。

彼女は当時住むための家を探していました。契約なんて真っ当に成立しなかったぐちゃぐちゃな時代。窓口で何十個もの鍵を見せられて、

「どれか好きなの一つ選んで。そこが今日からあんたの家だから。」

と言われたそう。面白い。そんな時代。

そもそも今ベルリンに30年近く住んでいるおじさまおばさまは自由を求めて学生時代にベルリンに移り住んできた方々が多い。事務所の所員のおじさんもあの頃は最高だったぜなんてタバコを吹かして目を輝かせながら過去の話を語ってくれます。まだまだ聞き足りていないのでこれから頑張ります。

では良い夏を。Tschüß!!

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