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街中エクササイズ

こんにちは。スウェーデンはヨーテボリで暮らしていた河合です。

第2回目のテーマ、「街並みをつくる文化、生活、人」について書きたいと思います。

スウェーデンの人々の生活の中で、特に街並み…というか街の中にあふれだしてくるような要素と考えると、、、、

健康

について話すのがいいかなと。街並みの話になるのかは微妙ですが。笑

スウェーデン人にとって、心身ともに健康であることは、最も重要なことと言えると思います。健康に末長く効率よく働くこと、これがスウェーデン人の理想の働き方です。

その健康重視な性質は、日常生活の本当に様々な場面にみることができるのですが、まず自転車通勤、自転車通学の人がとても多いです。

私の住んでいたヨーテボリは、それはそれは市内交通が発達していて、しかも街がコンパクトなので、トラムやバスやボートを使ったりちょっと歩いたりすれば基本的にはどこにでも行けるのですが、それにも関わらず、自転車に乗る人がたくさんいます。

通勤の行き帰りを自転車にすることで、一日に必要な運動量を達成しているのだと人々は言います。スウェーデン人は本当に効率がいい。

トラムの駅にある駐輪スペース。街中のいたるところにあり、便利。

しかも、それをサポートするかのように、自転車を安く手に入れやすいシステムが充実していたりします。Cykelköketという名の自転車リサイクルショップです。

スウェーデンは物価高めなので、新品で買おうとするとママチャリでも数万円はしてしまうのです…。

この自転車ショップはボランティアの人々によって構成されていて、彼らは街中の破棄された自転車を毎週のように店に仕入れてきます。(集めてくる団体が別にいるようです)

そして、自転車が欲しい人たちは、そのお店の会員登録をすれば、そこから好きな自転車を一台貰うことができるのです。会員登録費、およそ500円。

ただ、500円ですぐに使えるキラキラピカピカ自転車がもらえるというわけではありません。ここにカラクリがあって、だいたい集まってくる自転車は、どこかしらが壊れています。サドルがなかったり、タイヤがパンクしていたり、ブレーキがうまく効かなかったり。安いには安いなりの理由があるということです。

そして、そのショップの中には、ありとあらゆる道具、部品(これもまた壊れた自転車から出てきたもの)が揃っており、お客さんは自転車をゲットした後、そこにいるボランティアの人たちと共に、壊れている箇所を直さなくてはいけないのです。

店は週3日、それぞれ2時間ずつぐらいしか空いていないのですが、その限られた時間だからこそ、店の中にはボランティアの人がたくさんいます。しかもその人たち、自転車を直してくれるというよりは、お客さんに直し方を教えてくれる、という姿勢なのです。あくまで直すのは客自身。私も、結局自分でサドル交換したしパンクしたタイヤを解体してチューブを取り替えたしブレーキも直しました。

修理が終わってみて感じたことは、思ってたより大変だけど楽しい、そして自転車をもっと大切にしようと思えるようになったということです。500円で買った自転車なのに、捨てるのがなんだか惜しくなるというマジック。

どんなに絶望的に壊れた自転車でも、使える部品が残っていれば別の壊れた自転車を再生させられるというところが、ドラマチックだなと思います。

そしてもっといいなと思ったのが、私が来店したときにたまたまそこに大学のブラジル人留学生の友達がいたのですが、その友達は自分の自転車の修理をしに来た客であったにもかかわらず、私の自転車の修理を手伝ってくれたことです。彼も元々は、そこで自転車を手に入れ、ボランティアの人たちに手伝ってもらいながら自分の自転車の修理をしていた立場でしたが、やがて修理の仕方を習得していき、新しい客である私に教えてくれたのです。まさに、サスティナビリティ、、、!!!!!

ちなみにこのCykelköket、たまにシャルマーズ工科大学に大量の自転車と共に出張してきて、屋外で自転車の大修理大会が始まることもあります。需要と供給が見事に合致している。

というわけで、ヨーテボリの街中には自転車で颯爽と駆け抜ける系の美男美女が溢れかえっています。街中の自転車用の道も、(コペンハーゲンほどではないかもしれませんが、)きちんと整っています。

明らかにULLEVIがメインの写真ですが、手前の道は自転車レーンになっています。

あと健康に関しては、もう単純に歩いたり走ったりする人がとても多い。

私のインターン先もそうでしたが、とにかくみんなで元気になりたいということで、ランニングしたい人を募集し、シューズやウェアの申し込みを希望者で一括で行い、会社のお昼休みにみんなでロビーに集合して、街中へ走りに行っていたりします。老若男女問わず、みんなで走っていてなんだか微笑ましい。仕事帰りにジムやヨガに通う人もとても多いし、学生寮にも無料のジムがあります。

都市部に森林や湖など大規模な自然があるのも、それを後押ししています。

私の住んでいた寮では、すぐ裏に複数の湖を持つ森林地帯が広がっていたのですが、その中に散歩コースが入っていて、いろんな人が走ったり歩いたり、タイヤ引きずって走ったり、集団で筋トレみたいなのをしてたり、高校生が部活の特訓してたり、家族散歩してたり、犬とフリスビーで遊んでたり、とにかく自然の中で体を動かすのが大好きなんだなぁ、と思わずにはいられません。夏には湖に水着で飛び込んで泳ぎます。本当に住宅地から近いので、毎日でも湖に泳ぎに行けます。そのあとは、湖畔でバーベキュー。

寮から徒歩10分の湖。周りがランニングコースになっている

ランニングコース。

湖畔の小さなビーチは家族の憩いの場

森林の中にチェックポイントをたくさん配置し、そのルートに沿って森林の中を散策し、その得点あるいはタイムを競うというorienteringと呼ばれるスポーツもあるようで、木に的のようなものが貼られているのもよく見かけます。自然を日々の運動に活用しまくっています。アウトドアジムというものすらあります。森林の中を歩いていると、突然丸太を上げ下げするタイプのマシンを発見したりするので、つい筋肉をトレーニングしたくなってしまいます。

寮から徒歩5分のところにある遊歩道。

というわけでスウェーデンの街中には、中心部にも森林エリアにも、運動をするための仕掛けやきっかけがたくさん転がっています。

周囲の環境が人々の行動を促し、その行動を通じて場所そのものを楽しむことができるという循環が、街全体を壮大な遊び場に変えてくれているかのようです。

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