めまぐるしく変わる都市
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街中の木々がすごい迫力
どうもこんにちは、新宮です。ベトナム最大の経済都市ホーチミンに滞在し、VoTrongNghiaArchitectsで1年4ヶ月ほどインターンをしてましたが、もう日本に帰ってきてます。
帰ってくるといろんな人にすっかりベトナム人顔だねっ、と言われるのですが、決してベトナムに染まりきってこの顔になった訳ではなくて、、、 元からです。
こんな、顔からすでに東南アジアぴったりの私ですが、始めから東南アジアを目指していた訳ではなく、元々はヨーロッパに行きたいと考えていました。
ただ、いざ行く場所を決めるとなると、どうもここだという場所を見つけられず、ただ漠然とヨーロッパへの憧れが頭の中にもんもんと充満するばかりで、そこでちょいと考え方を転換して他の国にも目を向けてみると、国が大きく変わっていこうとしている東南アジアや南アメリカのような新興国だと建築の設計現場もどんどん変動して面白いんじゃないかと、建築が都市を変えていく様がみれるんじゃないかと。そう思ってきて、それらの国の建築家を物色していたところ、目に止まったのがベトナムのVoTrongNghiaArchitectsでした。
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奥に広がる都心部と手前に広がる開発予定地
ベトナムは2000年頃から経済が活発になり、現在も経済成長し続けています。それに伴って急速な都市化が進んでいますが、軸の通った都市計画になされていないため、都心部では建物が乱立しています。
また公共交通は都心部でさえバスのみで、お隣のタイなどと比べると、未だに十分に整っておりません。
それなのに私の住んでいたホーチミンの人口密度は4,000/km2、これは東京の約3分の2の値になります。それでいてほとんどの市民がモーターバイクに乗るため、モーターバイクの渋滞による騒音、大気汚染が問題となっています。
建築に関しては第二次世界大戦後に起きたベトナム戦争によって、伝統的建築はほとんどが破壊されているため、ベトナムにはあまり建築の歴史がありません。
加えて”建築”という言葉自体、できたのがたかだか4、5年前。建築家という職能が社会の中でまだまだ確立できていません。大規模なプロジェクトを扱うデベロッパーやその他のクライアントは床面積と売り込める綺麗なパースにしか関心がなく、建築デザインに対する理解が浅いのが現状です。
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VoTrongNghiaArchitectsの初期作であるWind and Water Cafe
そんな中VoTrongNghiaArchitectsは植えてから1ヶ月もすると植物が建築を覆ってしまうような熱帯モンスーン気候を利用し、劣悪な都市環境を整える緑化建築を主に建てています。日本で緑化建築というと少し色物なイメージもありますが、ベトナムでは建物のいたるところに植物の鉢が置いてあり、太陽の日差しが強いこともあり、不思議と緑化建築が街に馴染んでいます。
また独自の建材利用にも取り組んでいます。ベトナムではベトナム戦争で大量に散布された枯れ葉剤による森林破壊で木材は希少なものですが、そんななか強靭な生命力で生き残ったのが竹林です。そこで建材としてはとても安価で、曲げ加工もしやすい竹を使った竹建築も多く建てています。
そんな地域特異性を利用して建築で都市を変えようとしているこの事務所に興味を持ち、インターンに行ってきました。
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バンブードームの見上げ(Diamind Island)
ベトナムで建築の勉強なんかできるんだろうかという方もいると思います。
ベトナムではここ10年ほどで活躍する若手の建築家が何組か出てきましたが、日本やヨーロッパなどの国に比べると建築教育のレベルはまだまだ低いと感じます。
ただ恵まれていることは若い人にも多くのチャンスがあること。
そもそもベトナムの人はとにかく若い。
日本の平均年齢が46歳ほどなのに対し、ベトナムの平均年齢は28歳。とても私などまだまだ若いなんて言えません。
そんな中で経済成長が続いているので、多くの若者が大きなプロジェクトを任されており、技術や知識が十分でないながらも若い人々が暗中模索しながら新しい都市をつくっていっている一面が伺えます。
設計の現場でも同世代の人たちと共にその都度、勉強しながらプロジェクトを進めることも度々あり、アウトプットとインプットをめまぐるしく往復し、プロジェクトを通してめまぐるしい都市の変容の一端に触れられたのは非常に臨場感のある体験でした。
もう行って帰ってきたので、行ってからのことにも触れてしまったけれど、今回はこんなところで、
振り返ると1年4ヶ月はあっという間にすぎ、静かな日本の街で、ベトナムで痩せた体に冬の寒さが滲みる時、ベトナムのバイク音とからっとした暑さが懐かしくなる日々。
今ではベトナム、ここが私のanother skyです(一回言ってみたかった)
新宮光善
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