地球の裏側も留学の選択肢のひとつ
2017年1月に思い付きでHPを作った。この活動がゆるりと受け継がれていき、数年後には留学を考える建築学生がまず見るべきサイトになっていることを願っている。
第一回目のリレーテーマは
「なぜここへ留学したのか」
いまのところ基本的にこのブログの活用方法は、
1.留学をするための、ためになる情報
2.どんな生活をおくっているのか
3.どんなものを見て経験して、何を考えているのか
そして、これからたくさんの人が記事を書いてくれる予定だが、
まず初めにとっかかりとして自己紹介もかねて、
なぜこの国、この大学またはオフィスを選んだのかを紹介してもらう。
みんなの状況がとても多様なのがとても面白い、
いろいろな価値観の中の共通点をみつけだし、今後のリレーテーマを探っていこうと思う。
ABOUT US では個人の基本的な情報をみることができるようになっている。
南米っぽいストリートアート
僕はいまチリの Pezo von Ellrichshausen という、若い夫婦が主催する小さな事務所に2016年12月からインターンとして働いている。
(https://www.dezeen.com/2015/06/09/competition-win-tickets-pezo-von-ellrichshausen-talk-in-our-time-series-metropolitan-museum-art-new-york/)
左:Mauricio Pezo 右:Sofia von Ellrichshausen
オフィスは自宅を兼ねているのでものすごく彼らのプライベートなエリアに入れてもらえている。プライベートなのであまり写真は公開できないのが残念だが、
こちらのサイトにオフィスの環境がのっている。
この中の動画をみていただきたい!!
毎日ここで仕事したいと思ったのもきっかけの一つ。すばらしい空間と風景。
現在は夫婦と、チリ人の所員1人と5人のインターンだけでオフィスが成り立っていて、彼らは商業的な仕事はしないので、ここにくるインターンは奨学金をとっているか、財源がある人たちが来ている。でも、僕がインターンを選んだ一つの理由に交換留学で一年分の学費を払うより無給でもインターンで勉強をしたほうが留学費用はかからないと見込んだからっというのもあった。これ以上大学の授業をやってもつまらないだろうなっていう感覚もあったけど。
いつか生活について書くかと思うが、
チリの物価は安いだろうと思っていたけど全然安くない!!!
東京とほとんど変わらない...
市場ではとても安く野菜や果物が手に入るので自炊能力が日々進化している。
住居はこちら。
オフィスから徒歩20分程の大きなアパート。
これも彼らの作品の一つ。
インターン仲間とシェアしていて、チリの住居はヨーロッパ諸国や東京に比べたらはるかに安い。
さて、これまで簡単に今の環境を紹介してきた。これから、「なぜここに留学しているのか」について考えていきたいと思う。
きっかけはたしか、どこかでみた一枚の写真だった 。
Poli House
こんなすごいところに住宅がたつのか....
チリは南北に日本の二倍の長さを持つ自然豊かな国だ。砂漠から南極まであるそのランドスケープはとても多様で、文化や生活も特色がある。
東京にいると、必ず社会的な状況のなかで建築を考える必要がある。最大の容積と道路斜線が形態を決めて、要求の機能を満たす平面構成のなかでどのように住宅を作っていくか、しかもそれが都市に対してどんな問題提起ができているか、、、 一年間海外で仕事ができるならそんな東京的な窮屈ななかでの建築の思考じゃなくて、もう少し大きなテーマで思考しているようなところにいきたいなと考えた。
それと、まだあんまり人が留学していない国はどこかな~と
HPからコンタクトして、製本したポートフォリオを送って、skypeでインタビューして、1週間後に採用の連絡がきた、、、とトントン拍子で決まった。インターンと言うと伝手がない限りできないといわれたり、事務所の前で数時間座って交渉したり、移民を優先するから日本人はダメだと言われたり、20通メールを送っても返事が来るのは数件だけだったり、といろいろ聞いてはいたが、こんな状況もあったということは知ってもらいたい!トライすることに意味がある。
日本人は文化に個性があって、能力も表現力も高く、思考を共有したい!!と。初めての日本人だっただけあってとても反応がよく、ラッキーだった。
チリは2016年にプリツカー賞を取ったアラヴェナ率いるELEMENTAL や2016年ギャラリー間で個展をした Smiljan Radic など、去年はかなり日本で聞くことが多い国だった。この二つの事務所には過去にすでに日本人の先輩がインターンをしていて活躍されている。
チリの建築家のなかでもペソフォンはその建築思考の方法が注目されていて、実作の多さとともにかなり多くのアートワークを同時に行う。
彼らの作品集は2Gやa+uなどいくつかの書籍になっている。
Solo house, oil painting , a+u 13:06, Peso von Ellrichshausen
このような絵もインターンの仕事の一つとして行っている。油絵や水彩や鉛筆、模型などいろいろな手法をプロジェクトの進行状況によって使い分けて作っている。担当を決めて一つのことをやり続けるというよりも、みんなで交代しながらたくさんのプロジェクトを同時進行させていて、現在は建設段階なもので3つ、基本設計中は3つ、アートワークが3つ、クライアントとの打ち合わせ中が4つとこの事務所の規模にしてかなりのプロジェクトが動いていて、そのすべてにちょっとずつかかわらせてもらっている状況。すごく楽しい。
仕事は9時から6時ピッタリに絶対終わるのが、いかにもラテンアメリカという雰囲気である。ボス二人の性格がオフィスに反映されていて、ミーティングではマテ茶飲みまわしたり、みんなで屋上や庭でランチを食べたり、食後は犬の散歩をしたり、夕日が綺麗だったら外にでて感傷にひたる。そんな仕事の仕方も日本人は学ぶべきことが多いはずだ。
仕事のあとは家で彼らのインタビューや作品集を眺めながら彼らが何を考えているのか考えている。いまだぼんやりとしかつかめていない彼らの思考を捉えられるようになりたい。
Chao chao!
Nemo