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カタルーニャの建築家

こんにちはバルセロナに留学中の藤村です。

僕が紹介する建築家はスペインのカタルーニャを代表する建築家で、45歳の若さで亡くなったエンリックミラーレス(Enric MIralles)。すでに名前が知られているが、ご当地建築家と聞いて、初めに頭のなかに出てきたカタルーニャらしい建築家が彼だった。今回はいくつかの作品を通して建築家ミラーレスを紹介する。

・サンタカタリーナ市場

特徴的な屋根のサンタカタリーナ市場

サンタカタリーナ市場はバルセロナにある市場で、修道院をコンバージョンした市場をリノベーションした作品だ。

元の市場のファサードがミラーレス独特のカーブを持った屋根によって覆われたこの建築で彼が意図したこと、それは時間の重奏である。元の建築を残しそれが持つ時間を受け継ぎ、新しいエレメントを重ね合せることで、今と昔という時間の対立を超えた一時的ではない建築をつくり出している。特徴的な屋根は時間の関係性の複雑性を表し、前面に突き出て庇になっている。バルセロナの強い日差しを遮るだけではなく、遠くからでも認識することのできるこの屋根によって大聖堂からの軸線を市場まで引き込み、背後の教会までつなげる都市スケールの狙いもあり、都市と建築を行き来するでデザインはいかにもミラーレスらしいアプローチだ。

都市との関係がよくわかるダイアグラム

・ディアゴナルマル公園

ディアゴナルマル公園、冬場で植物がないのが残念でした

都市を意識した作品としてわかりやすいのが、ディアゴナルマル公園だ。

とても大きいこの公園の敷地はバルセロナの重要な道路であるディアゴナル通りから海の近くまでまで続いている。ミラーレスはここで曲がりくねったオブジェクトを配置した。そこに蔦性植物を植えることで平面的ではなく立体的な緑を作り出すことが一つのコンセプトであるが、都市との関連性も重要なポイントだ。ディアゴナル通りと海を公園によってつなぎ、公園内部は敷地周辺と関係を持ちながら枝葉のように分岐し、場所をつくりだしている。ミラーレスが優れたデザイナーであると言われる理由の一つがオブジェクトの配置の仕方である。この作品ではリニアなオブジェクトが公園に散らばっているが、その向きや間隔などの配置計画によって強制的に訪れる人に方向性を意識させ、公園を公園内部で完結させず、都市との関係性の中で作品をつくり出している。ベンチなどの配置に関しても、私たちの中の動物的本能を刺激するようなデザインがされている。

独特なドローイングのダイアグラム

・イグアラダ墓地

斜めの線がすごい

ペイブメントが特徴的

左右で生と死のコントラストがきいている

イグアラダ墓地はバルセロナから少し離れたイグアラダにある墓地だ。ここの設計者であるミラーレス自身のお墓もここにある。

西欧の墓地は日本のとは違っていて、日本の墓地が戸建住宅の集まった住宅地だとすると、西欧の墓地は団地やアパートのように一棟に色々な家のお墓があるようなつくりになっている。ここでも屋根の形状やペイブメントなどの随所にミラーレスらしさを感じられる。墓地では人間の生き生きとした活動が生まれる場所ではない。建築家は死生観や宗教などの極めて抽象的な概念を純粋な空間で表現しなければならない。イグアラダ墓地は訪れる人に思考を促し、死と向き合う機会を与えてくれる建築だ。そこに訪れた瞬間は時間が止まってしまったかのような場所で、いつからそこにあるかわからないようなタイムレスな建築である。

ミラーレスさんのお墓

礼拝堂が併設される予定だった場所

バルセロナで留学をしていて当然のことではあるけれど、日本とは建築が違って見える。ここでいう建築は特定の建築ではなくて、この地域の建築たちが感じさせる集団的印象のことだ。建築単体を見ると日本でもありそうな建築は見かけるが、集団的印象は違う。異なる文化や歴史、気候などの土地の個性がそうさせているのかもしれない。こういった言葉では表しきれない「らしさ」をつくり出せるデザイナーに惹かれる。ミラーレスは「カタルーニャらしい建築」を作る人の一人で僕のフェイバリットアーキテクトです。

画像参照

http://www.fundacioenricmiralles.com/

https://placebrandingofpublicspace.wordpress.com/2013/01/12/miralles-pinos/

http://www.vg-hortus.it/index.php?option=com_content&view=article&id=27:embt-diagonal-del-mar-a-barcellona&catid=1:opere&Itemid=2

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