きたのくにから
こんにちは、大澤です。
わたしは今、スウェーデン、ヨーテボリのChalmers University of Technologyという大学に交換留学生として通っています。今年の1月から留学が始まった、春出発組です。早いもので、もう3カ月も経ちました。
まずはなぜ北欧を選んだのか?
大まかな理由としては
北欧建築を勉強したい
北欧のライフスタイルをみたい
オシャな家具やインテリアのデザインをみたい
きれいな英語がしゃべれるようになりたい
日本人がいない環境にいってみたい
安全で暮らしやすいところがいい
ヨーロッパは学部の頃よく旅行に行っていて、フランス、イタリア、チェコ、オーストリア、ハンガリーへ行きました。そして北欧にもずっと行ってみたかったのですが、物価や飛行機が高くてなかなか学生には厳しく。それなら、いっそのこと住んでしまおうと思いました。
さて、それではなぜ北欧留学に惹かれていたのかといいますと、
私は北海道札幌市出身です。大学院で東工大に行くまで22年間ここで育ち、学びましたので、北海道を深く愛しています。この経験は少なくともこの留学に影響を与えていると思います。
もちろん北海道に深い愛があるということもそうですが、学部時代には北欧建築について触れることがとても多かったように思います。大学にはオスロの事務所で勤務経験がありAHOでスタジオを持っておられた先生がいて、この先生が授業で北欧建築について色々と紹介してくれました。
この先生にSevere Fehnを初めて紹介された時は、ドキドキしました。寒いところで建築を作っているのにとても大胆で、北国でもこんな建築が可能なのか、というかやっちゃう人がいるのかと思いました。
それに北欧のライフスタイルも。みんな仕事も大切にするけど、個人の価値観も、お互いに大切にしている。ママでもあるスタッフは事務所に赤ちゃんを連れてきていて、その赤ちゃんが泣いちゃったら誰でも近くにいるスタッフがだっこしてあやしてあげる、とか。「そんなに優しさに溢れる国があるのか…」と衝撃を受けました。それから、北欧に住んでみたいなあと思うようになったと思います。
Severe FehnのStorhamarlåven博物館。超大胆。いま思うとこの人にしたら雪国とかあんまり関係ないかもしれない
それから、建築的な理由もあります。
以前から北欧建築は日本建築と似ているところがあり、面白いなあと感じていました。「ゲニウス・ロキ」に代表されるような場所に聖霊が宿るという考えを大切にするところは、日本人のアニミズムみたい。そして周辺の自然環境を上手に使って、使う人に居心地の良い場所を提供する技術の高さ。
私は設計の時、いつも外の環境と建物をどう繋げるのか、外の環境を建物の内部にどう生かすのかについて考えるのが好きだったので(というか端的に言うとどこでも開くようにしたかった)、他の寒い国では実際どうなっているのかなーと気になっていました。なんせ、北海道のようなところは自然が豊かだけど、寒いから建築を開いていくことは難しいのです。でも、まわりに気持ち良い環境があるのなら、ぜひ活用したいと思うので、そこの関係を上手に作れるようになりたいなと思っていました。
外部とダイレクトにつながっている建築は、暖かい地方に行けばたくさんあるけど(そしてもちろんそういう建築は大好きです)、ここはあえて開くのが難しい寒い地方でどう居心地の良い空間を作るのかというところに着目してみたいと思いました。北欧の建築が持つ周辺環境をうまく生かして人々にとって居心地の良い場所をつくる技術を、ここで学びたいなあと思っています。
Fehnの博物館の横に広がる湖。こういうの本当に素晴らしいと思う。
そして東京で勉強した最近の私は、学部時代の興味が少し発展して自然環境に対してだけでなく、人々の意識に対してもっと建築が開いていくこと、、、都市や利用者に対してもっと建築が身近なものになっていくこと、それによってまちのランドマークとなる建築の新しいあり方に興味をもちはじめました。
年末にグッゲンハイムヘルシンキのコンペについてのレクチャーに行ったときも、これからの美術館は人が毎日の生活の中で気軽に集まれる居場所としての建築であるべきだというお話がありました。美術館が、みんなが日常的に集まることのできる場所として、街のランドマークになるということ。
参考例としてデンマークのルイジアナ美術館が挙げられていましたが、わたしも行きましたが、居心地の良いおばあちゃん家のような、公園のような雰囲気の美術館で、本当に良いところでした。周辺の自然と建物のバランスもいいですが、家のような居心地の良さを残しているところ(この美術館は19世紀の大豪邸の改修)が北欧らしくて良いなあと。こういう場所を作れるのが、北欧建築のいいところだなあと思います。
(workに授業で書いたレポート載せたので、ルイジアナ美術館に行く時はパンフレットとしてどうぞ)
ルイジアナ美術館。夏になったらもう一回行きたい
民主主義の建築、ひとびとに開かれるというと他にもたくさんいい場所があると思います。アジアのDIY建築やスペインの広場とか、、スペインの広場は本当にエネルギッシュでいいなあと思いました。
ですが、北欧の公共建築は、どこかプライベートも守られている感じがあるように思います。それに、ハレとケで言ったらケである日常を大切にしようという雰囲気が感じられるような気がして、そこが好きです。
このリラックス具合がいい…ヨーテボリ図書館。
さて、次になぜこの大学を選んだのか?
正直に言うと、交換留学に出す英語の点数が取れるまで時間がかかり、あまり選択肢がなかったので、自分の点数と学校の提携校の残りの枠を照らし合わせて決めました。
またシャルマーズから来ていた留学生の友達がいいやつだったとか、M1の時に出した国際コンペで毎年常連で最優秀をとっていたのがここの学生だったとか、日本人が絶対いない環境だろうなといった理由で、いいかなと思い決めました。
もちろん、留学を考えているみなさんには早くから勉強することをお勧めします。笑
そしてこっちにきてみると、大学はとても過ごしやすくていいところです。工科大学なので東工大の雰囲気に少し近いと思います。みんなおとなしいというか、落ち着いている雰囲気です。それに、当初予想していた通り日本人が全然いない。多分大学に私しかいない。大変だけど、英語漬けで自分にとってはいい環境だと思います。
最後に、ちょっと現在の生活を紹介します。
ヨーテボリはどんなところかというと、良く言うと「コンパクト」、悪く言うと「思ったより田舎」です。笑 スウェーデン第二の都市と言われますが、とてもコンパクトな街で、すぐ周辺には広大な自然が広がっています。あと、移民がとても多い。
そして、近くにヨーテボリ大学もあり学生の多い街なのでとても過ごし易い。食べ物は…甘いものはぜんぶ美味しい。セムラ(北欧の伝統的お菓子)は美味しくて大好きです。あとはストレミング(ニシンの酢漬けみたいなもの。あの世界一くさいと言われるシュールストレミングのあれほど醗酵させていないもの)も美味しい。ストレミングのフライは絶品でした。冬の気候は札幌より寒くありません。雪も、たまに降りますが根雪になることはないです。それより雨、風が多い。曇り空も多い。
そしてあんちゃんも言っていましたが、旅行には結構便利な場所です。ロンドンまで飛行機2時間半、スペインも飛行機直行便で3時間くらい。コペンハーゲンやオスロ、ストックホルムには電車で3〜4時間で行けます。ポーランド行き飛行機も安くあります。
先日友人と、街の運河をカヤックしながらゴミ拾いしました。この写真はまた今度別で詳しく上げたいです。
あと夏は絶対に最高だと思います!夏になったら、綺麗な写真をたくさんアップしたいと思います。
あやこ
Comments